特集レポートFeature Report

07 07

実現した「子どもの村福岡」- 空間構成とゾーニング –

空間構成とゾーニング

配置計画の考え方

「子どもの村福岡」の配置計画は、設計者の建築計画コンセプトをもとに、建築チームでのワークショップを通じて検討を重ねた上で決定しました。最初に子育てのための住宅である5軒の「家族の家」と、「村長の家」、「センターハウス」をどう配置するか、「多目的ホール」等の必要性と駐車場の配置などをいくつものパターンの中から、ひとつにまとめていきました。

敷地に対するアプローチは、さまざまなとらえ方、考え方がありましたが、今回は子どもの村の中心である、「センターハウス」を、小学校や今津のまちに対してどのように開くかを重要な項目として配置検討をおこないました。

「家族の家」の形が個性的で、かつ統一感を出せるよう、住宅は周辺道路に対して45゜の角度をつけ、ずらした状態で配置されており、そのことによって住戸間の風や光の採り入れ方、風景に対しての視線の通り抜けなどを考慮した計画となっています。

それに準じて、各戸に南勾配の片流れ屋根を設置する事で、将来的な太陽光発電の設置とともに、周辺の山並みと対応した村全体の景観の調和を図っています。

家族の家は、駐車場や玄関位置、キッチンの配置など、一般的な住宅と同じイメージになるように細かく検討しました。またセンターハウスの2階に位置する村長の家からは、中庭広場や全ての住宅が見渡せる計画になっており、互いに気配が感じられる距離感や関係性を考慮に入れた配置としました。また、北西側隣地である空き地を将来的に子どもの村の拡充として有効利用できる事も視野に入れて配置計画を立てています。

外構計画と植栽

空間づくりは室内に限りません。複数の家族が協力して子育てを行うために、共有の財産である外部空間の計画が非常に大事です。それは、配置計画を含む外構のデザインや植栽計画によって、居住環境が向上し景観の楽しさや借景としての機能が派生するからです。

子どもの村では、開かれた村を体現するために、敷地境界に垣根や塀などがありません。また各住戸間にもフェンスなどによる仕切りが存在しません。これは非常に重要で、一般的な住宅と比べて大きな相違点となります。戸建ての住宅という概念を持ちながら、ひとつのコミュニティとしての村である事がわかり易く表現されています。

その結果、複数の住戸で共有する庭や、中庭にあるみんなで使える芝生広場や遊び場も子どもの村の大きな特徴となりました。屋外で遊ぶという行為は子ども達の成長にとって欠かせないもので、決まった遊具に頼るのではなく、可変性の高い遊びを子どもたちに提供できるように、築山やワークショップで着想を得た土管、砂場などのシンプルな遊び場づくりをおこなっています。

また庭を巡る古いまくら木による歩道は、外装に木材を使った建物群と庭の木々とをつなぐ重要な役目を持っています。植栽計画にも、設計コンセプトは活かされています。敷地の南に配置される3本のメタセコイアは古代からの歴史を持つ木であり、真っ直ぐに育つ子どもの成長をイメージしたランドマークツリーとなっています。

そのほかに桜、紅葉、ドングリ、欅、もみの木、コブシ、白樫、ポンカンなどの中高木やラベンダー、セイジ、ユキヤナギ、ヴァルト、レンギョウなどの低木類が敷地全体に配置されています。

特に桜の苗木や低木類は、子どもの村開設を記念した植樹祭において、周辺地域の方々や関係者と共同で植えられており、多くの協賛企業や個人からたくさんの苗木を寄贈されました。

このように植栽計画は四季折々に楽しめるよう、香りのよい木、花の咲く木、実のなる木などさまざまな木々が配置されています。

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