特集レポートFeature Report

06 06

実現した「子どもの村福岡」

空間づくり

実際に設計という、建築に向けての具体的な作業が始まると、これまで私たちが積み重ねた、さまざまな経験が役立つことになりました。子どもたちが直面する状況の調査や、国内外の既存の施設の見学などの経験は、実践的な発想を生み出す私たちの構想の土台になりました。

また研修会や市民フォーラムなど、さまざまな形で行われた講演会やシンポジウムは、現状を知り、改めて子どもの村という存在について各自がじっくりと考える機会となり、そこから新たな着眼点も生まれました。

そしてアイデアを集約するためのワークショップでは、客観的に全員でこのプロジェクトを考え直すことで、すぐにでも活用できる発想が生まれ、そして実際にそれらの豊かなアイデアは以後の建築デザインに反映されていきました。

独自の計画アウトラインの作成

SOSキンダードルフの建築ガイドラインやプログラム(※IV-2、p25参照)で示されている項目を基本にしながら、私たちはシンポジウムやワークショップなどで集約した意見・要望を十分に踏まえ、「子どもの村福岡」ならではの独自性を持った計画の4項目を作成しました。

『01.建物は質素で頑丈で、機能的に。』

ここで言う「質素」とは、決して安価な建物をつくることではありません。必要な要素をシンプルに建築に反映させるという基本方針です。また、子どもたちを守るために、建物は頑丈であることも条件に加えました。

『02.その地域で経験を積んだ専門家による計画案を。』

その地域を理解し、その場所にあったデザインを生み出すことができる専門家が計画することで、地域への効果的なデザインを生み出せるという考えが反映されています。

また、日々変化する状況に対応した計画を作るためには、事務局との密接なコミュニケーションが可能である必要がありました。

『03.工事は費用を抑え、地域の材料を使い、地元の建設業者に。』

地域に入っていくには、その土地固有の材料や技術を用いて行うこと、地域の労働者や専門家たちに関わっていただく事が重要かつ必要であると考えました。

またそのことが結果として、改修や増築また解体などの場合に費用などの節約になるとともに、地域経済との相互支援に繋がる可能性があるのではと考えました。

『04.デザインは時代遅れであってはならない。また古い建築様式や不必要な歴史的外観を強調しないように。』

「子どもの村福岡」の建築は、生活様式の変化に対応できるデザインが必要であり、建物自体も長期間機能しなければならない。そのためには、デザインは古くならない要素を用いてデザインを進める必要があると考えました。

この計画アウトラインを出発点として、そこから私たちの思いを具現化する村の設計が始まりました。

 

アイデアから基本設計ヘ

「子どもの村福岡」の基本計画に取り組むにあたり、子どもサポート部会や他のチームによって検討されたさまざまなアイデアを、建築計画へ反映させる取り組みが行われました。

特に前出の「子どもの村福岡」の計画アウトラインを現実的な建築計画とするために、各項目についての詳細な考え方を建築チームで話し合いました。その際に、海外や国内の類似施設の調査や資料を検討し、自立と協働をテーマに子どもが育つための環境を家の単位、村との関係などさまざまな階層で検討がなされています。

建設のためのシンポジウムやワークショップをヒントに、その土地固有の材料や技術を用いて設計を行うこと、地域の労働者や専門家たちが関わる事を前提とし、改修や増築また解体などの場合の費用等の節約や、地域経済との相互支援の可能性が検討され、今津という地域に適した建築プログラムの検討と再構成をくりかえし、より現実的な建物の基本計画ができあがりました。

基本計画としてのアイデア、計画アウトライン、キンダードルフ建築手引き等をふまえて、設計者による建築設計コンセプトが構築されました。これは、金銭的な問題や、敷地の条件等から提案されたコンセプトで「家族の家」を5軒で構成することは、オープンスペースを含む敷地の大きさとの空間的なバランスをもとに決められています。

地盤や構造に対しての配慮は、埋立地である計画地の地質状況を考えた上で住宅としての安心で安全な強度を確保することに他なりません。デザインの統一や住宅としての基本性能の向上は、より具体的で地域的な建築に特化したコンセプトと言えます。

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